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遅くなりましたが。

こんばんは。
最近気温の変化が激しい日が続きますが、風邪など引いてませんか?
夏の疲れが出やすい時期ですし、気をつけてくださいね。

さて、2周年記念の創作が仕上がりましたので、うPしようと思います。

まず第一弾!やっぱゼルリナですか。

何年経っても好きです!この2人。
ただし、甘辛。シリアス度高め。
らぶらぶ書きたかったのに。
しかも長い。
まぁ、最後のほうは甘いからいいかなぁ(お)

苦手な人は要注意!
読んでも大丈夫な人は続きよりお楽しみ下さい。



――かわいい人――




様子がおかしいと思っていた。

ここ数日、目の前を歩く少女、リナの表情が気になっていた。

見た目にはいつも通り。

戦闘中も、食事中も……一応、会話も。

だが、本能的にそろそろ限界なのではないかと感じ、今日街に着いたら訊ねるつもりだった。

その結果がこれだ。



「リナさん!ちょっと、きいてるんですかっ!」

「はいはい、きーてるってば」

「大体ですね!夜中に勝手に出歩くリナさんが悪いんですよ!
 いくら悪を成敗するためとは言え――――――」

朝からずっとこれだ。

次の街へ向かう道中、目の前ではアメリアが昨夜盗賊いぢめに精を出しすぎたリナに延々と愚痴を述べている。

ガウリイも今日ばかりは口を挟む暇すらない。
仕方がないなぁと言わんばかりの表情だが、その実、アメリアの話はすべて聞き流し…どころか我関せずで耳にも入っていないだろう。

ため息混じりに見上げれば、鮮やかな青い空に、ふわふわと漂う白い雲。

肌をなでる風は心地の良い冷たさで、日差しの強さも気にならない。

久方ぶりの、この上なく穏やかな日だ。
なのにこの状況。
いい加減うんざりしてきたし、流石に助け舟を出してやらなければ……


「おいアメリア、それくらいにしておけ」

「ゼルガディスさんは黙っていて下さい!」

「ちょっと、」

今日のアメリアはすこぶる機嫌が悪いようだ。
いつもなら盗賊いぢめぐらいで2時間も小言を述べるようなことはしない。

キッと睨みつけてくるアメリアの向こうで、リナの瞳に剣呑さが宿った。

「リナがお前をおいて行ったのは仕方のないことだとわかっているはずだ」

「だからって!」

今までもそうだが、俺たちの旅費のほとんどはリナが出資している。

ここ2週間ほど出費が重なり、このままではマズいとリナから相談を受けたのはつい先日のこと。

となれば、手っ取り早く、確実に金銭を稼ぐ方法は……言うまでもない。
それだけならまだしも、今回は3日続けてだ。

アメリアが小言を言いたくなるのも無理はないが、それだけ状況が切羽詰っていると言うこともわかってやって欲しい。

なにより今のアメリアは魔法が『使えない』のだ。
そんな状態で盗賊いぢめなど連れて行けるはずもない。

「いい加減にしなさいよ」

いつになく硬い声だった。

まるで戦闘時のように怒気の篭った音色。

はっとして振り返るアメリアに注がれるリナの瞳は細められ、冷えていた。

あるのはただ虚ろを湛えた深紅の瞳。
そこからはなんの感情も読み取れない。

「わからないなら少し頭を冷やしなさい。
 次の街で、あたしはしばらく留まることにするわ」

言い終えるとリナは踵を返し、振り返ることなく足早に歩き始めた。

「お、おいリナッ!」

ガウリイの声を気にも留めず、まるで聞こえていないかのようだ。

俺はそこでようやく足を踏み出した。

「ガウリイ」

「ゼ、ゼル…?」

「アメリアを頼む。俺はリナを追う」

彼の返事も待たず、小走りに彼女の元へ向かう。

リナは追いついた俺を一瞥しただけで、やはり何も言葉を発しないまま進んでいく。
やはり、何かがおかしい。

直感だった。

嫌な、悪寒のような痛みが全身を襲う。

「リナ」

「……………」

やはりこちらに見向きもせず、彼女は前へと進んでいく。


どれくらい歩いたか、もうすでにアメリアたちの姿も彼方へ消えた頃を見計らってリナの腕を掴んだ。

「っ!ちょ、ゼル!?」

突然のことに驚いて腕を振り払おうとする。

「リナ」

「なによっ!勝手について来たくせにお説教なんて聞かないわよっ!? 離してっ!離しなさ、」

「そうじゃない。落ち着け」

「きゃっ!?」

掴んでいた腕をそのまま自分のほうへ引き寄せる。

当然ながら傾いできた華奢な体を受け止め、リナの細い腰と後頭部に手を回して強引に抱き込んだ。
そこまできて、ようやく動きが止まる。

「もういい。その辺にしておけ」

自分でも良くわからない台詞を吐いて、彼女を拘束する腕に力を籠める。

「っ―――!………、いつ、から…?」

一瞬硬直した彼女の肢体から、するりと力が抜け落ちた。

「昨日あたりからちょっとな」

俺は琥珀色のイヤリングが輝く耳元で囁く。

ふ、と息をつくリナ。

その中に、諦めと自嘲が混ざっているような気がして、俺は眉を顰めた。


時折、リナは自分を責めすぎて暴走してしまう。

自らを傷つける行為には至らない。

彼女の場合は精神を苛むのだ。

数々の戦闘の中で失われてしまった命を嘆き、己の未熟さを徹底的に指摘し、蔑み、非難する。
それで良い方向へ変わるわけでもないが、そうせずにはいられなくなるらしい。

俺たちの知らないところで、俺たちの目の届かぬ場所を傷つけ、壊していく。それを当然のように行ってしまうのだ。

傍から見ている分には問題もないし、いつも通りに接している風に見えるだけに性質が悪い。
しかし、あまりに長引けば態度にも視線にも表れるのは当たり前のこと。

今回は俺が気づくのが遅かったのだ。


「なんでも言え。弱音も鬱憤も、悪態でも言えるだけ言えばいい。
 あと、メシでも何でも奢ってやる。ただし、甘いものはほどほどにしとけよ」

俯いていたリナが弾かれたように顔を上げた。

「今日は肌寒そうだし、少しいい部屋に泊まったほうがいいだろう。
 何日か滞在するつもりならついでだ、前から欲しがってた結紐も買ってやる」

「ちょ、ゼル!冗談―――――」

「言えるような状況かどうかの判断くらいはしているつもりだが?」

慌てるリナが、言葉を失った。

体を離し、見えてきた街のほうへと数歩足を進め、立ち止まる。

“いくらでも甘やかしてやる”

そう振り返って手を差し出すと、潤んだ瞳を輝かせて飛び込んできた。
彼女との盗賊いびりで得た金が役立つ時が来たようだ。

ふわり、と彼女の黒いマントが風にはためき、広がった。




その1時間後、賑やかな街に着いた俺たちは手当たり次第店を覗いた。


手始めに昼一番に焼き上がったパンをこれでもかと言うくらい両手いっぱいに買い、オレンジとライムの果汁を搾り出したジュースと共に胃に収める。

口の端に残っていたタマゴサンドの残りを拭ってやりながら、デザートにブルーベリーにイチゴ、ラズベリーに甘さ控えめの生クリームをたっぷり使ったクレープを。

リナはさらにバニラとレモンソルベ、マンゴーシャーベットの3段重ね。
流石に俺はミントティーだけで済ませたが。
(口直しにと飲ませてやると、“美味しい”とはにかんだ)

それを食べ終わる頃、リナの瞳は少しだけいつもの輝きを取り戻しつつあった。

「ふぅ、食べたぁ……」

少し早いと思ったが部屋を取り、旅の装備と荷物を木製のテーブルの上にぞんざいに投げ出して、ため息混じりにリナが呟いた。

食欲があるのはいいことだが、相変わらず彼女の胃袋はどうなっているのかと思ってしまうのは仕方がない。
それはさておき。

自分もマントをテーブルの傍にあった木製の椅子にひっかける。

ダブルベッドに座って天井を見上げ、呆けているリナの隣に腰を下ろす。

「………肩、大丈夫なのか」

びくり、と細い体が強張る。

「リナ」

答えなくていいから見せろ、と怪我をしていると思わしき場所に指先で触れる。

躊躇いはほんの数十秒。
服の合わせ目を繋げている隠しボタンを外し、ゆっくりと晒される右肩の肌。

ちょうど肩の付け根の背中側―ちょうど肩甲骨のあたりだ―。そこには、ドス黒く滲んだように広がる、手のひらサイズの鬱血痕。
おそらく昨夜、クズ共をいたぶっている最中にぶつけたのだろう。

まったく。普段痛みに対して耐性のない人間が、よく我慢できたものだ。

幸い骨に異常はなさそうだが念のため治癒(リカバリイ)をかけ、仕上げとばかりに口づけを落とす。

「―――ッ!も、ゼルっ!」

反射的に睨んでくる彼女より一瞬早くするりと抱きしめる。

はっ、と息を飲む音が微かに聞こえた。

「もういい。俺の前でやせ我慢は止せ」

答えるのを躊躇うかのように、リナは口を開いては黙り、黙ったまま俯いてを繰り返す。

俺は黙ってリナの栗色の髪を梳きながら待ってやる。

ゆっくり、ゆっくりと。

「……っ、………ぃた、い………」

どれくらいそうしていたか、しゃくりあげるような喉の音と共に涙が、落ちた。

「あぁ、これだけの打ち身だ。なんともないほうがどうかしてる」

「…っ、…ごめっ……ぜる、……」

ぎゅうっと服を握り締める感触が伝わる。
だが、我慢していたのは傷口だけではないはずだ。

すべて吐き出してしまえ。

ここには俺しかいない。

だから、言ってしまえばいい。

お前がくれた、俺の……恋人としての役目だ。

「いや、…なのっ……」

「………なにがだ?」

掠れた声を受け止め、涙の軌跡を拭いながら静かに先を促す。

「……っ……あたしの、なのに………っ!」

リナ?

言葉の意味が理解できず新たな涙に濡れた顔を覗きこむ。

「ぜるはっ、ゼルの恋人はあたしなの…っ!」

「――――――!?」

……意外な発言に心臓が飛び出すかと思った。

俺は思わず腕の中の彼女をまじまじと見ずにはいられなかった。


何度でも言うが、一応俺とリナは恋仲にある。

ただ、仲間の関係を崩したくないと言う理由からガウリイにも、そしてアメリアにも何も話していない。
自然、2人の俺たちへの接し方は変わらないわけで。
その為嫉妬で心が灼けるように熱くなることも数えることすら面倒になるほどあった。

リナとガウリイの連携が良いのも、保護者的立場上のスキンシップがあるのも日常で。

俺がアメリアとタッグを組むのは互いに得意とする術に相乗効果を持たせるため。

今まで当たり前のように感じていたことに、こんなに苛立ちを覚える日が来るとは思っていなかった。

時には狂ったように荒れる心ごと彼女を抱いたこともある。

それをリナは甘んじて受け入れてくれた。

しかしまさか。

「………っ……や、なのっ!……あたし……」

一瞬疑ったものの、未だ俺の肩口に額を押し付けてくる様はあまりに切迫していて。
血が逆流するように体の奥底からこみ上げてくるのは、限りのない愛おしさと嬉しさだった。

「リナ」

「っ、く…ゼル?」

涙が滲んだ瞳のせいか、いつもより少し幼く映る顔は欲情を煽る。
それでも今はそれに流されるわけにはいかない。

そっと彼女の唇を親指でなぞる。

「俺が好きなのはリナだけだ」

石榴色の瞳が殊更大きく見開かれる。

バンダナを解いた額に軽く口付けを落とす。

「旦那に妬いたことのない日なんてほとんどない」

眦に光る雫を唇で吸い取って、頬を両手で包みこむ。

「アメリアのことも、妹以上には思っていない」

交わる視線に耐え切れなくなったか、顔を朱に染めて瞳を閉じてしまう。

その染まった頬にもまたひとつ。

びくり、と震える体をもう一度抱きしめて。

「ただ、……あまりがっつき過ぎて、お前に嫌われたくないんでな…」

苦笑交じりにいつもなら言えない、ありのままの本音を伝える。


彼女が笑うたびに眩しくて

視線が合うと外せなくて

抱きしめて、口付けるだけでは済まなくなる感覚に支配される


物静かに振舞うのも、余裕なフリをして微笑むのも全ては年上という事実とプライドの名の下に成り立つ建前で。
本当はそんなもの全てかなぐり捨てて、奴らに「俺の女に触るな」と凄んでやりたい(あのゴキブリ魔族には特に!)。

しかし、俺の恋に対する臆病な性格が災いして実行に移せていないというのが現状だ。

「………ばか」

「リナ?」

「言ってよ!わかんないじゃない!
 キスしたいのも抱きしめて欲しいのもっ、……触れてほし、のもっ…あたしだけなのかとか、考えちゃうんだからっ!
 あたしのほうがずっとずっとゼルのこと好きで、怖くなる時だってあるんだからっ―――――!?」

竜破斬〈ドラグ・スレイブ〉並みの破壊力を持つ彼女の発言に理性があっさり崩壊した。

やわらかな唇を自分のそれで塞ぎ、逃れられないよう後頭部に手を回す。

酸素を求めて薄く開いた隙間に舌を滑り込ませて歯列をなぞる。

始めこそ驚いたのか躊躇いがちだったが、徐々に強請るように口付けに応えてくるリナ。
ぎゅっと俺の服の袖が掴まれ、さらに引き寄せられる。

ふわり、と香るシトラスに頭の芯が溶かされそうだ。

絡まる唾液も熱い吐息も、高まる鼓動すらどちらのものともわからないほど。

まだ陽が傾きかけた穏やかな昼下がり。
静かな部屋に濡れて淫らな水音が響いた。

「ン、…はぁっ、……」

そのままベッドに押し倒してしまいたくなる衝動を理性でなんとか押さえ込み解放してやると、悩ましげな息遣いと共に体重を肩に預けてきた。

いろいろ衝撃的過ぎて眩暈がする。

結局やられっぱなしなのが自分であることに変わりはない。

この甘え下手で頑固で我侭なくせに仲間のためなら命さえ惜しまぬリーダー気質の、ただただ不器用な女にどうしようもないほど惚れているのだから。

「……っ、………ぜ、る?」

焦点が合わないながらも顔を上げるリナの頬に掛かる髪をそっと払う。

静かに瞳を閉じる彼女の赤みの差した頬。
そこに口付けて身体を深く抱きこんだ。

はーっと深く息を吐き出し、怪我をしていなかったほうの肩口に額を乗せる。

(ったく、なんつーことを…言ってくれるんだ、昼間っから…)

と思ったものの、言わせたのが他ならぬ自分のせいだという気がしないわけではない。
更に言うなら、そこまで追い詰めてしまった罪悪感も多少なりにある。

だが、普段から簡単に愛の言葉を囁けるようなユルい頭はしていない。

………極稀だが、リナと共に朝を迎えるような時は別として。

「あ、の……ぜる…?」

「あんまり俺の心臓に火炎球を放り込むな。もたんぞ」

実際問題冷静になるのに必死だ。
だが次のリナの言葉により、俺のかき集めた理性は粉々に吹っ飛ばされることになる。

「………っ、…して?」

なんだと?

かなり間近で耳にしたにも関わらず、我が耳を疑った。
と言うより、リナの発言を。

顔を覗き込もうとするが、やわらかな髪と真っ赤に染まった耳しか見えない。

「……いいのか……」

「………ん、……ね、だめ……?」

俯いたまま問われて、拒絶できるはずがない。


覚悟しろ。


だが、さっき通りで買った黒いノースリーブのワンピースが着れるように気をつけてやることにしよう。


自分勝手なことを心の中で呟きつつ、俺は腕の中の愛しいぬくもりに牙を剥いた。


end


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なんでこんな長くなったんでしょう…
そこだけが謎ですな。

いまいち糖分足りなかった気がするので、また頑張って書きたいと思います。
では、次いってみよー!


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