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月と蒼穹が奏でる物語 vol.1


えー……なんかもうお待ちして下さっている方いるんでしょうか…

今更ながらに続きなんて、と思われる方もいらっしゃる気がしますが、始めちゃったからには頑張ります。

多分亀更新間違いなし。(どーん)
それでもおk!どんとこいっ!って言ってくださる方、よろしくお願いいたします(ぺこり)

設定追記。

うさぎちゃんとみちる嬢はすでに戦士として覚醒済みです。

怖がり、ドジッ子うさぎちゃんはいません。

原作、アニメの話の流れはまるっと無視です。

ほんとにご注意ください。




月と蒼穹が奏でる物語  vol.1



流れ行く街の景色を見つめながら、みちるとうさぎは静かに目の前の紅茶を口に含んだ。

車内にはエンジンとピアノの音が響いている。

かたり

カップをソーサーに戻したうさぎはどこか表情が硬い。

「どう思う? うさぎ」

「え……ぁ、あの……」

視線も合わさぬままかけられた問いに口を開いたものの、答えられずに俯くしかない。

「そう。やはり、ね…」

黙ったままのうさぎの様子から何かを察し、みちるは紺碧の瞳を閉じた。

戸惑ったようにその仕草を見つめるうさぎ。

みちるが聞きたいことはなんとなくわかっている。
ただ言葉にしていいものか、どうしても躊躇ってしまう。


はるかが同席したお茶会はとても楽しいものだった。

出会ったばかりだというのに、まるで以前から知っているかのように会話が弾んだ。

彼、天王はるかはみちると同じ中学2年。

有名な体育系学校の中等部に在籍していると言っていた。

モトクロスやF1レースなどに興味があり、長期休暇を利用してアメリカや欧州を行き来していて、近いうちに国際運転免許の取得を目指していると言っていた。


「そんな顔をしないで、うさぎ」

「っ!………」

楽しいお茶会の後とは思えないほど俯いた顔は暗く沈み、空色の瞳は弱々しく翳りが見える。

「気にするなという方が無理かもしれないけれど、私は後悔していなくてよ?」

はっきりとした口調にゆっくりと顔を上げるうさぎ。

みちるが手に持っているカップをソーサーに戻したところで、車が緩やかに止まった。
どうやら信号待ちらしく、前方から歩行者用信号機の音が高く響いている。

「初めは“世界を護るなんて馬鹿げたことを”って思ったりもしたわ。
 だけど貴女といるうちに考えが変わったのよ」

はっとしたようにうさぎは瞳を震わせ、こくり、と息を飲む。

手を握り締める彼女の緊張を解くようにやわらかに微笑み、みちるは言葉を続けた。

「“何も知らないまま貴女を一人で戦わせなくてよかった”とね」

「っ、みちる、さん……」

「あとは…目覚めの刻に、彼が何を思い、どう決めるのか…見守るしかないわ」

瞳を閉じて応じるうさぎを宥めるように頭を撫でてやる。


やはり心を痛めているのだろう。


はるかが自分たちと同じ、戦士としての運命を歩まなければならないことに…


敵である妖魔に襲われ、うさぎに助けられると同時に戦士として覚醒め、改めてと言葉を交わした時もそうだった。

『みちるさん……』

コスチュームを纏った自分を見つめる彼女の頬は仲間に出会えた嬉しさと、戦いに巻き込んでしまったという悲しみの涙で濡れていた。

どんなにコスチュームを纏っても、技を駆使して妖魔を倒すことが出来ても、自分たちはまだ中学生だ。

慣れない戦闘に戸惑い、怪我をすることも多い。

そのことをうさぎは今でもとても気に掛けている。

しかし、みちるはうさぎの澱みのない優しさと無垢な思いに包まれ、幼い頃に失ったと…求めることを諦めてしまったぬくもりを得た。

そのあたたかさで日を追うごとに世界が多彩に、鮮やかに色付いて、ヴァイオリンの音色までもが(良い方向に)変わったと教師に言われたことすらある。

だからこそ。

「うさぎならきっと大丈夫よ。自信を持って」

「………っ、はいっ!」

頬を伝う涙を拭って笑顔を見せたうさぎに小さく頷き、ようやく安堵したようにその金糸から手を離す。

エンジン音が響き、再び車が動き出すと、みちるはカップを手に取り「それにしても」と小さく笑みを零した。

「余程好きなのね、彼」

「え?」

「風を感じることが」

みちるの言葉に思い出したかのように顔を上げた。

「そう言えば、風の香りがしました…はるかさん」

「じゃあやはり、彼が……」

そう。うさぎが彼に感じたもの。

見合い相手と対峙する位置に立った彼の背に一瞬感じた安堵感。


まだ戦士としての自覚さえ未熟で、前世の記憶すらおぼろげな自分。

戦いにおいても、時折みちるの足を引っ張ってしまうことすらある。

それでも、あの時の感覚は確信に近かった。


彼は、天王はるかは……風の守人――ウラヌス――なのだと。


「覚醒も…近いのかもしれないわね」

自分がそうであったように。

みちるの呟きに、カップを手にしたまま頷くうさぎの表情はやはり哀しい色を帯びていた。



―――――古(いにしえ)の伝説に記されている話のひとつに、月の王国―シルバーミレニアム―という存在がある。


冷たく、音も空気も存在しないはずの天空に輝く月。


そこに活き活きと咲き乱れる何十種類の花と穏やかな気候。


広い月の大地にたった一つ存在する白亜の宮殿。大理石の廊下の上を赤い絨毯が真っ直ぐに走り、その先にあるひとつの玉座。


統治するのは紫銀色の髪に白いドレスを纏った女王、クイーン・セレニティ。


彼女の持つ伝説の宝石『幻の銀水晶』は銀河を統べる者の象徴。


その力は絶大で、使い方によってはこの世界を消し去ることすら可能だという。


うさぎとみちるはそのシルバーミレニアムの女王が娘、プリンセス・セレニティを守護するセーラー戦士だと聞かされた。


当面の目標は襲い来る敵を倒し、まだ目覚めていない皇女を、戦士たちを探し出すこと。


敵の名は闇の帝国――ダーク・キングダム――



それが、うさぎの傍らに座る黒猫、ルナから告げられた内容だった。


黒い艶のある短い体毛に覆われた細くしなやかな体躯に、金色の澄んだ瞳までは普通の猫と変わらない。
しかし、彼女―ルナ―には額に黄色い三日月形をした印があり(ハゲと言ったら怒って爪を剥き出しにされた)、人語を解し、話すことが可能らしい。

それこそが月の王国に仕える者の証。

しかし、うさぎの中でルナは戦士としてのパートナーである以前に、既に家族のような存在となりつつあった。

なんとはなしに窓の外を眺めていたその彼女が、ある店舗の前で声を上げた。

「みゃあっ!」

「どうしたの、ルナ」

「何か見つけたの?」

運転手がいる手前、言葉にすることを控えたルナは黙って窓の外を前足で指した。

「っ!あれは!」

「……確か幹部のっ……!」

十番街にある比較的大きな宝石店の前に若い男性が立っている。

後頭部でひとつに纏められた緩くウエーブした腰まで届きそうな髪は栗色。
モデルのように無駄のない細身、整った面立ちは一見ハーフのようで通りすがりの人々を惹きつける。

しかし、その正体はダーク・キングダムの四天王の一角を担う“ゾイサイト”

彼もまた『幻の銀水晶』を狙い、手に入れた暁にはこの世を破滅に導こうとしているのだ。

「まさか今回のターゲットは…」

「おそらくね」

「みちるさん…」

「彼が去ったら下調べを始めましょ。今夜あたりから警戒したほうが良さそうだわ」

うさぎは緊張した面持ちでみちるを見つめながら小さく頷いた。


その後の調べで、ゾイサイトが立っていた宝石店『GEM』。

幾つもの支店を全国に所持しており、創立50周年を記念して3日後、社長が会社設立当時に発掘した希少な宝石が公開されるという。

「これが、彼の狙いね」

うさぎの自室でパンフレットや書類に目を通しつつみちるが呟く。

「多分、集まった人のエナジーも狙いのうちですよね」

「でしょうね」

「みちるさん…ここっ!」

ルナが前足で押さえたあたりを見ると、そこには主催者グループの名前が記されていた。

「これって…まさか…」

「どうやら、無関係ではいられないようね」

そこには先程別れたばかりで友人となったはるかの氏名、『天王』の文字が。




『ここ、は……』

ベッドで休んでいたはずの自分は見知らぬ場所に立っていた。

あたりは瓦礫と化した建物に埋め尽くされ、空は何故かどす黒い赤に染まっている。

何故こんなことに…

恐れからか足が竦む。

振り払うように拳を握り締めるが、這い上がってくる闇が止まる様子はない。

このままでは世界が…っ!

そう思った。刹那。


コォォォォォ……ッ


『この輝きは…!?』

右手から眩い真珠色の光がどんどん広がっていく。

輝きに触れた場所は建物や道路が元の形を取り戻していく。

驚きながらも目を凝らせば光の中心に、裾が地に届きそうな白いドレスを着た長い髪の女性が1人。

『……あなたは…一体…』

『ごめんなさい、    …』

振り返った女性は泣いていた。

最後の方が風音に紛れてなんと言ったのか聞き取れなかったが、何故か自分が呼ばれたような気がした。

しかし、そんな疑問よりも目の前で顔も知らない女性が泣いていることに胸が軋んだ。

『何を……』

謝る必要があるのか。

そんなはるかの心境を悟ったかのように、目の前の女性は言葉を続けた。

『貴方の目覚めは本当ならばもう少し先のはずだった。
 けれど、もうそこまで危機が近づいてしまったのです…』

『“危機”…っ…それはいったい……っ!』

『お願いです。あの子を…私の娘を助けてあげて下さい。
 あの子はこれからつらい試練を乗り越えていかなければなりません…どうか、どうか     を……!』

『クイーンッ!』

がばり!

「はっ、はぁ……っ……、は…、っ……」

鼓動が早鐘を打っている。

額から流れた汗が頬を伝う。

パジャマ代わりのトレーナーも張り付いて気持ちが悪い。

しかしそんなことよりも。

(今の…今の夢はいったい……!)

胸の辺りに手を沿え、たった今見た夢を振り返る。

彼女が誰なのかわからない。

分からないまま叫んだ自分がもっと分からない。

「クイーン…」

なぜだろう。

言葉にしただけで、こんなにも胸が痛い。

まるで大切な人を失ってしまった時のように。

そう思わせる彼女が言った。


“娘を助けて”と。


娘の名は聞き取れなかった。

しかし、それよりも“危機”とは一体何なのか。

この街…?いや、まさか…この世界そのものが…!?

「はっ、バカバカしい…!」


(本当に?)


「大体ありえないだろう…」


(だったらさっきのユメは?)


「ユメは夢だっ!」

苛立ったように大きな声が深夜の部屋に響いた。

そんな自分の声にはっとなり、自身を落ち着かせるように大きく息を吐き出す。

寝てしまおう。

そうだ。朝になれば忘れている。

あんな夢……




ピチョン…

陰湿な洞窟の中、誰かの話し声が響いている。

「メタリア様」

どす黒い影が壁一面に広がっている。

その目の前に立つ、女性が一人。

燃えるように赤い髪は地を這い、金色の瞳が狂気な光を宿している。

深い紫をしたノースリーブのマーメイドタイプのドレスを纏い、手には身の丈ほどある木製の杖を握り締めている。


『おぉ、ベリルよ…!『幻の銀水晶』はまだ見つからぬのか…』


低い声が彼女を呼ぶ。

ベリル、と呼ばれた女は傅き、「申し訳ございません」と頭を垂れた。

「必死に探索を続けておりますが、依然としてそれらしい報告は上がってきておりません」


『急げ、急ぐのだ…!“月の国”の者たちが目覚めた今、一刻も早く『幻の銀水晶』を手に入れよ!』


「はっ!」

再度頭を下げ、ベリルはその場から離れ、女がメタリアと呼んでいた影も壁から消え失せた。



「ゾイサイトはおるか」

「はい、ベリル様」

ベリルの背後に現れたゾイサイトは静かに瞳を開いた。

「『銀水晶』の行方はどうなっている」

「私(わたくし)も全力で探しておりますが……」

「急げ!メタリア様がお目覚めになるには『幻の銀水晶』が必要なのだ。
 なんとしても“月の国”の者たちより先に手に入れるのだ!」

「御意」

「ジェダイトのような失態は許さぬぞ」

「ッ……心得て…おります……」

ゾイサイトは苦悶の表情を浮かべたままベリルに頭を下げた。


つづく



****************************

やっちまったい。

まずったな。
フラグ色々立てすぎた感満載。

ジェダイト君いないし。
おそらく多分そのうちそのときのエピソードも、ジェダイト君の現状も書く予定です。
気長にお待ちください。

長い話になりそうですが、これからもよろしくお願い致します。(ぺこり)

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