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be with you  VOL.2

はい、引き続きみちるさん視点です。

ちょっと書いてみたかったエピソードをひとつ、入れてみました。
うちの外部戦士はうさぎちゃん大スキーな人たちなのでこんなんになりました。

それでは、続きをお楽しみください。







be with you  VOL.2


宣言通り、うさぎを起こしてから仕事へと文字通り飛んでいったはるかを見送ったのは1時間程前。
着替えを済ませ、リビングに降りてきたうさぎとほたるも一緒に朝食を採り、その片付けをせつなに任せて洗濯物を片付けた。
洗い上がった衣類の入った籠を抱えてテラスに出ると、心地よい風と柔らかな日差しに思わず目を細めた。

昨日とは打って変わった天候は、心の中まであたたかくしてくれるようで。
はためく洗濯物を眺め、いつも以上の満足感に頷いてテラスを後にしたのは20分前。

うさぎの緊張を解くために彼女の大好きなアールグレイを用意し、私の部屋に招き入れた。
程なくして、ほたるが自分用のスケッチブックを、せつながハードカバーのミステリー小説を手に訪れる。

「みちるママ、嬉しそう」

「そうかしら?」

「うん、とっても!」

「そういうほたるもとても楽しみにしていたようですね?」

「だって、みちるママが絵を描くところってなかなか見られないでしょう?」

「そうですね、実は私も初めて見るのですよ」

ほたるの言葉に驚いていると、せつなも意外と嬉しそうに微笑んでいる。

そんなに私が絵を描いている姿って見たいのかしら…?

「あんなに素敵な絵を描いてるみちるママはもっと素敵だろうなって思ったから!」

私の疑問に応えるようにほたるが言った。

その無邪気な笑顔に、私は「ありがとう、ほたる」と頬に口付けた。

絵画作成はいつだって大変で、自分のことだけで手一杯になる時が多い。
ただ、今回は私の大切な人を描けることに高揚感を隠せず、寝つきが悪かった昨夜を思い出した。
なのに不思議とコンサートの疲れは残っていなくて、むしろ余裕があるくらい。

きっと、オヒメサマが目を覚ましてくれたお蔭ね…

「あ、あの…みちるさん…」

「どうかして? うさぎ」

どことなく躊躇いがちな様子でうさぎが口を開いた。

「本当に私でいいんですか?
 絵のモデルなんて…私一度もやったことないし、それに顔だって人並みですよ?」

何を言い出すかと思ったら。
この子は本当に自分の魅力に気づいていないのね。
私たちだけでなく、はるかをも虜にしている素敵な魅力に。

「良いのよ、うさぎ。
 貴女が貴女でいてくれるだけで、きっといい絵が描けると思っているのよ?」

そう言って、私は踵を返して壁際に並んでいるガラス張りの書棚から、一冊のアルバムを取り出した。

「ただ座っているのも退屈でしょう?
 ほたるのアルバムなのだけど、せつなと一緒にご覧になっていて?」

「わぁ!ほたるちゃんのですか?」

分厚いアルバムを顔を輝かせて受け取るうさぎ。
早速カーペットの上に座ってそれを開いた。

私の意図に気付いたせつなが小さく頷き、本を適当な場所に置いてうさぎの隣に腰を下ろした。

「これ、誰が写真撮ってたんですか?」

「ほとんどははるかですよ」

「へぇ~…あ、でも結構こだわりとかあって大変そうですね」

「くすくす、その通りなのよ、うさぎ。
 はるかったら角度がどうとか逆光だとか、もう初めの頃はうるさくて仕方がなかったのよ?」

「今でも現像した写真見ながらブツブツ言ってる時あるよね」

会話を交わしながらキャンバスを前にして鉛筆を滑らせていく。
うさぎの空色の瞳や肩から流れる絹糸のような髪、なだらかな背中の曲線まで事細かにスケッチして。


せつなが説明する写真を思い出して笑ってしまう私。

ほたるは自分の記憶にない失敗談に羞恥の声を上げて。

会話の途中、写真の内容をほとんど覚えているせつなは、育児を始めた頃の私とはるかへのダメ出しも忘れない。


思い出しても顔から火が出るほど恥ずかしい記憶ばかり。
だけど、そのどれもが愛しく、かけがえのない時間。

「良かったね、ほたるちゃん」

「え…?」

突然のうさぎの言葉に、私と同じように鉛筆を走らせていたほたるは戸惑ったように顔を上げた。

「はるかさんとみちるさんとせつなさんっていう、素敵なパパとママがいて」

にこり、と笑いながら濃紫の髪を撫でる。
途端にほたるの唇が、瞳が、喜びの形に作られる。

「うん!私、パパとママたちの子で良かったよ!」

『ほたる……』

「やけに楽しそうだね、お姫様方」

はた、と気がついて顔を上げると、扉の傍に見慣れた長身が。

「あ、はるかパパ!」

『おかえりなさい、はるか(さん)』

「ただいま。一体何見て―…あぁ、懐かしいな…」

弾けるように体を起こして、飛びついてきたほたるを屈んで抱きしめると、彼は愛しそうに目を細めた。

「早かったのね」

「うん? あぁ、今日は新しいエンジンが届いて、その調整と確認のためのテスト走行だけだったからね」

「いつもならお昼過ぎまで走ってるくせに。お腹、空いていて?」

「いや、いいよ。まだ11時になったばかりだし」

「あら、もうそんな時間?」

言われて本棚の置時計を見ると、確かに11時を少し過ぎたあたりを差している。
早めに帰ってくるだろうから、この時間にはお昼を作ろうと思っていたのに。

描くのが楽しくて、話に夢中になって気付かなかったんだわ…

こんな気持ちで絵を描けたのはとても久しぶりで、心を満たす充実感にほっとする。

「ところで、絵の方は進んだ?」

抱きついていたほたるを離すと、はるかがキャンバスを覗き込んだ。

「まだ下絵なのだけどね、どうかしら?」

「うん、僕は良いと思うよ」

「あら、素敵ですね」

「せつなもそう思う?」

はるかと反対側から絵を見たせつなに、彼が優しく微笑む。

「えぇ、だってこれ、私たちでしょう?」

「そのつもりなのだけど…」

「どこか不満でも? うまく表せてると思うけど?」

言って、愛しそうに目を細め、しなやかな指先で其処を撫でた。


ふわふわとしたレースのドレスを身に纏い、髪をシニョン型に結った一人の少女―うさぎ―

彼女が抱きしめるのは4つのガラス球。

それぞれ欠けたり、ひび割れたりと何処か寂しげで。

なのに、少女の顔はとても穏やかに微笑んでいる。そんな…私たち絵画を描く者にとってはありふれた構図。

けれどどうしてもこれ以上のイメージが浮かんでこなくて。


「みちるママ、この絵…きっと…ううん!絶対とっても素敵になるわ!
 やっぱりみちるママの手は魔法の手ね!」

いつの間にか近くに来ていたほたるが満面の笑顔で私の手を取った。

そしてはるかの隣にはうさぎの姿が。

「これ、私…ですか…?」

「そうよ? お気に召したかしら?」

「え、あ…うぅ…な、なんだか自分じゃないみたいで…は、恥ずかしい…です…」

「あら、そんなことありませんよ。
 うさぎさんの内面がとても良くあらわされていると思いますよ」

「うん。僕もそう思うよ」

「せつなさん、はるかさんまで…」

真っ赤になって照れた様子の彼女を見ながら、私はそっとキャンバスに描いたガラス玉に触れた。


そう。

これはうさぎに出会う前の私たちの心。

歪な心ははるか。

ひび割れたものは私…

穴の開いたせつなの心。

そして、最後は欠けたほたるの心…


孤独、裏切り、戸惑い、嘆き、悲しみ…
負の感情の塊を抱え込んでいた私たち。
それらを知ってか知らずか―多分知らないだろうけれど―受け入れ、癒してくれたのは他でもない…うさぎだった。

初めは未熟で甘く、無警戒で、あまりに幼い少女だった。
なのに時折、彼女はその内に秘めた『力』で敵味方関係なく包み込んでしまう。
それは、本当にあたたかく、涙が出るほど愛おしくなるぬくもりで。
私たちが悲しくなるほど切望していたモノ…―
伸ばすことさえ躊躇っていた手をあっさり掴み、屈託のない眩しい笑顔で微笑んでくれたことを、私はきっと忘れない…

今となっては懐かしい過去。

それをこんな形で表せる日が来るなんて、思ってもみなかった。

「みちるさん」

「なぁに?」

うさぎの声に振り向くと、恥ずかしそうに頬を染めてはにかんだまま言った。

「絵の完成、楽しみにしてますね」

「えぇ。貴女の為の絵ですもの。頑張るわ。
 その時は是非一番に見に来て頂戴?」

「はい!」

胸を満たすのは花綻ぶ貴女と家族の幸せそうな笑顔。


VOL.3に続く


=========================

読み直して思いました。

もちょっと想像力働かせねば…ひねりがなさ過ぎたか…
今の私ではこれが精一杯。

みちる嬢のうさぎちゃんへの心境をあらわしたかったのですが…
うーん…(汗)

次が最終回ですが、書き直しに少し間を空けます。


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