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皆さまこんばんわ。

昨夜の言葉通り、対のお話を投稿させて頂きます。

つまり、はるかさんよりのお話なのですが、せつなさん視点です。

主としては、覚醒前のほたちゃんとせつなさんの会話。
はるかさんも出てきますが、ほんのちょこっとしか出てきません。

それでも、って言って下さる方は、続きよりお楽しみいただけると幸いです。







…光がとどくように…


「ねぇ、せつなママ…」

とある日の夜。
夕飯の片づけをしていた彼女の背後から可愛らしい声が。

「なんですか? ほたる」

きゅっと蛇口を捻って水を止め、濡れた手をエプロンで軽く拭う。

「あのね…はるかパパのことなんだけど…」

「はるかがどうかしたんですか?」

入浴真っ最中の本人は、この家の中で一番この少女を愛しく思っていると言っても過言ではない。
自分たちがどんなに厳しく躾けようと叱っても、最後の最後で甘やかしてしまうのはいつもはるかだ。
もちろん最低限のマナーなどには口を出したりはしない。

いずれ立派なレディとなるためには教えておきたいことが山ほどある。
なのにいつだって2人してイタズラを考えては自分やみちるを困らせる。
今回もその手のことなんだろうと思っていたが。

「んと、あのね? どうしてはるかパパのピアスって片方しかないのかなぁ…って思って…」

娘の一言に一瞬思考が停止しそうになった。

観察力の優れた彼女のこと。
いつかは聞かれるだろうと思ってはいたが…
その質問に対する答えを用意するのをすっかり忘れていた。
肝心のはるかは依然浴室から出てくる様子はなく、いつも何かと助けてくれるみちるは生憎明日まで外出中。
ほたるの顔を見遣ると、期待に満ちた黒曜石とかち合って。
どうにも逃げられそうになかった。

意を決してほたるが座っているダイニングテーブルの隣の椅子に腰を下ろす。

「はるかのピアス、ですか?」

「うん」

「……以前聞いた話ですが、ある大切な人との約束に渡したみたいですよ」

「やくそく?」

ほたるは不思議そうに首を傾げた。

「その人って、せつなママにとっても大切な人?」

「どうしてですか?」

一瞬どきりとしたが、なんとか平常を装って問い返す。

そんなことを知らずに彼女は「なんとなく」と曖昧な返答を寄越した。
おそらくせつなの言葉から何かを感じ取ってのことだろうが、そこまで理解できるほどほたるは年齢を重ねてはいない。
しばし考えたせつなは、正直に答えることにした。

「そうですね…私にとってもですが、はるかやみちるにも、そしてほたる…いずれはあなたにとっても大切になる人ですよ」

「私にとっても?」

「えぇ、とても心の優しい、あたたかい人ですよ」

せつなの穏やかな表情をじーっと見つめていたほたるは、つられたように微笑した。

しかし、はっと我に返ったように息を止めた。

「ほたる?」

「……ねぇ、せつなママ?」

「なんですか?」

「はるかパパ、いなくなったりしないよね…?」

「え……?」

「約束って…なにかはきかないけれど…はるかパパ、どっかいっちゃったりしないよね?」

しばし呆然と娘の言葉を聴いていたせつなは、ふっと微笑んで柔らかな髪を撫でた。

「大丈夫ですよ。
 はるかが私たちを、と言うよりあなたを置いていってしまう訳がないじゃないですか」

「ホント?」

はるかにとって、この家の中で優先順位が一番高いのはほたるだ。
勿論自分たちのことも大切に思ってくれているのは知っている。

誰よりも人の感情の浮き沈みに敏感で、優しい彼だから。

アンテナを張っている、というのではなく、『感じる』のだと言っていた。雰囲気や空気の違いを。
その分自分の事に関しては呆れるほど放置して、無理をするのだけど。
まるでそうしなくてはいけないことのように。

しかし、だからこそ。
ほたるの傍を離れられない。

それも『彼女』と交わした“約束”のひとつだから。

「でも、どうしてそんなことを聞くんです?」

はるかがほたるに黙って出かけたことなどあっただろうか?

「あのね…最近はるかパパ元気がないの。
 昨日もお月さまを見てさびしそうな顔をしてたの…だから…」

未だ不安そうに見上げてくるほたる。

そう言えば、昨日のはるかはいつも以上に情緒不安定な様子だった。
もしかしたら以前のように風が騒ぐのを感じたのかもしれない。

それでも。

「大丈夫ですよ、ほたる」

「え…?」

「はるかがその人のことを大切に思っていることは本当です。
 だけど、私たちやほたるのことも、同じくらい大事に思ってくれているんですよ」

ね、はるか?とほたるの背後に向かって視線を投げた。

そのことに気付いて慌てて背後を振り返るほたる。

「はるかパパ!」

「まだ起きてたのか? もう寝る時間だろ?」

何も聴いていなかったかのように、入浴を済ませたはるかは、いつものようにほたるに就寝を促した。
しかし小さな少女にいつも元気はなく、曖昧な返事をしてその場を動こうとしない。

そんなほたるに何かを感じたようで、彼はせつなに視線で問いかける。
少し肩を竦めて見せ、音にはせず『ピアス』と告げた。
それだけでピンと来たらしいのは流石と言ったところだろう。

「ほたる」

彼はまだ幼い娘の前に屈んで視線を合わせた。
黒曜石の瞳が不安に彩られて揺れている。

はるかはいつものように優しくほたるに微笑みかけた。

「今日はパパと一緒に寝ようか。
 パパが大切に思っている月のお姫様の話をしてあげるから」

途端、みるみるうちに彼女は表情を和らげ、嬉しそうに頷いた。

「…はるかパパ、ありがとう!」

「はるか…っ…」

「せつな」

何か言いたげに名を呼ぶ彼女に、しかし、はるかは優しく微笑して首を振った。


“オヤスミ”の一言を残し、寝室へと消えた2人を見送ったせつな。

彼女は小さくため息をついた。

はるかが先程見せた微笑。
その瞳の奥に隠された感情に、せつなは覚えがあった。

転生し、覚醒した折に蘇った遠い未来―クリスタル・トーキョー―で抱いていた儚い思い…

まさか彼はプリンセスにそんな思いを…?

はっとして彼女ははるかの部屋のほうへ視線を向けた。
しかし、確かめる術などないし、そんな事をしなくてもさっきの無言の微笑みが全てを語っていた。

うさぎへの愛しさも、会えない寂しさも、叶うことのない思いの苦しさも…その全てを抱えることを覚悟の上と言ったあの深藍の輝き…

その心境を思い、せつなは静かに瞳を伏せた。

仮に思いが叶っても、未来が変革してしまうことを恐れているのも事実だろう。
状況を自分に置き換えたとしても…

“やめよう…”

そこでせつなは首を振って考えるのをやめた。

どんなに思考を廻らせても、うさぎから授かったほたるを育てていく誓いも、はるかが抱えているであろう気持ちも変わらない。
ならば自分はそれを見守るしかない。

例えその想いがどんな未来をもたらしたとしても、はるかには幸せになって欲しい。
“家族”に仇成すようなら抗うまで。
例え『運命』だとしても。
それに、未来は決して決まってはいない。
自分の知る未来でさえ、“可能性”の一部でしかない。
こうしている間にも、未来は刻一刻と微妙な変化を遂げている。

しかし、うさぎがもし…万に一つの可能性として…はるかを選ぶとしたら…

“いけない…私としたことが…”

せつなは無意識に微笑している自分に気がついた。

それでも「考えていても仕方ないわね」と誰にともなく呟き、席を立つ。

思い馳せるは蒼穹の瞳と金色の髪の少女。
華奢な体躯に地球(ホシ)の運命を背負い立つ愛に満ち溢れたプリンセス。
そして、その彼女を守護する風を司る戦士。
2人への思いを胸に、4人の中で唯一未来を知る女性は静かにキッチンの明かりを消した。

あとに広がるのは、静寂とただ平穏を願う家族の祈りのみ――


end


==========================================

なんでかこちらの話のほうが長くなってしまいました…

みちる嬢もですが、せつなさんはせつなさんなりに大変そうだなぁと思いつつ。
うさぎから授かったほたるが最優先でありながら、「家族」として一緒にいるはるかさんたちのことも気にかけている。
もちろんうさぎのことは心配でしょうが、変身できない以上は…とかとか。
いろいろ悩み事が耐えなさそうなイメージです。

相変わらず外部戦士のお話は書いていて力不足を感じてしまいます(汗)
まだまだ修行の足りない新月でした。
ではでは。
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