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痛み隠して

皆さま、こんばんは。

鼻がぐずぐずでいまいちな私ですが、頭の中が創作モードで落ち着きません。
しかも、急に降臨したかと思ったらかなりの切ない系…
ちなみにはるか→うさぎです。

苦手な人は注意してください。

ありがちな内容ですが、ギャラクシア編でのうさぎちゃんの苦悩です。




“痛み隠して”


さぁさぁと降りしきる雨。

その中、うさぎは傘を差して歩いていた。

今日は約束もなく、一人で買い物に出かけ、思わず手荷物を増やしてしまった。
邪魔にはならないが、濡らしてしまわないかと気になってしまう。

と。一台の車がうさぎの傍で停車した。

白いスポーツカー。
そのボディには見覚えがあった。
そんなことを考えていると、助手席側の窓が下がり、中から予想通りの人物が顔を覗かせた。

「こんな雨の中、お出かけかい?」

「はるかさん、こんにちは」

「送るよ、乗って」

少し躊躇った彼女だが、その間に雨脚の速さが増し、結局そっと助手席に身体を滑り込ませた。




唸りを上げるエンジンとは対照的に、車内には静かなピアノの音。
響く旋律は確かショパン、だっただろうか。

それにしても、今座っている場所にいつもいる人物はどうしたのだろうか…

「はるかさん…」

「みちるなら、今日はずっと防音室に篭りきり。ヴァイオリンじゃなくて絵の方でね」

微笑みながら迷いなく答えるはるか。

何故自分の問いかけがわかったのかと驚いたが、先日の昼休みの会話をぼんやりと思い出した。

「あ、そいえば学園祭の看板のひとつを任されてるって聞きました」

「そう、それ。
 みちるのやつ文句言いながら乗り気でさ。昨日から構想がどうで、テーマがこうだとか夕飯時から独り言の連続。
 仕舞いにはせつなに怒られるんだから、よっぽどだね」

「そうなんですか…」

芸術面では自分たちメンバーの中で誰一人として右に出ることが出来ないし、責任感の強いみちるのこと。
今頃カンバスかスケッチブックと真剣な眼差しで向き合っているのだろう。

どんな時も、その姿勢を崩さないみちるの姿が、うさぎは好きだ。

“凛と咲く、華の如く”

まさに、そんな言葉が当てはまる。

「うさぎ」

「え、あ。はい?」

「何か抱え込んでるものがあるなら、吐き出してしまってもいいんだよ」

どき、と心臓が跳ねた。

「…なんの、ことですか…」

彼がこんなことで誤魔化されてくれるような人ではないことくらいはわかっている。
それでも、戦いが激しさを増す中、自分のことで手を焼かせたくない。

「戦いの場でなら、容赦はしないよ。人の命が懸かっているんだからね。
 だけど、今は……」

「言ってる意味がっ、」

「わからないかい?」

ざぁぁ…っと路上の雨水を跳ね上げ、車が停車する。

「どうしてっ誰も彼も私を放っておいてくれないんですか!大丈夫だって言ってるじゃないですか。
 今はっ…敵を倒して、早く平和をとりもどさないと…――」

サイドブレーキを引いて叫んだ少女のほうを見る。
俯き加減で表情は見えないが、膝の上で握り締められた両手の間接部は真っ白に染まっている。

「うさぎ」

静かな声が、車内に落ちた。

鼓動が、速まる。

「昨日夢を見たんだよ」

「ゆめ、ですか…」

「小さな黄色いウサギがいてね…うずくまったまま動かないんだよ。
 怪我でもしているのかと思って抱き上げたんだけど、泣き腫らして疲れて動けなかったんだ。
 僕には、その仔が君に思えてならなかった」

(ヤメテ…)

深い藍色の瞳が顔を上げたうさぎを射抜く。

嘘を許さない、まっすぐな視線に胸の奥が悲鳴を上げる。
見たくない、見ないフリをしていた、弱い自分が。

体が…アツい…

「僕は確かに君の笑顔が好きだけど、感情や心のない表情は好きになれない。
 大体、泣き虫なお姫様がこのままで押し通せるわけがないのは判っているけどね」

「だからって!他にどうしろって言うんですか!
 みんなに心配かけたくないんです!こんな大事なときに私がしっかりしてないと誰がっ」

「教えてあげるよ」

急に腕をぐっと引かれ、飛び込んだのははるかの胸の中。

心の奥で“ダメ”と声が聞こえた。

思わず身を引こうとするうさぎだが、すでに背中には彼の腕が回され逃げ出せない。
はるかの纏う、優しく仄かな甘い香りに眩暈さえする。

「いや…」

「女の子が男に甘えるのは、こういう時だよ」

パリンッ、と頭の中で、身体のどこかで、硝子のようななにかが割れる、派手な音が響いた。気が、した。



本当は息苦しかった。

ずっと、ずっと

どこにいても水の中にいるみたいで

呼吸さえ儘ならず

身動きさえとれない

どんなにもがいても水面に上がれず、手が届くこともない

自分の行動がおかしくならないよう

気にして、取り繕って

泣きたがる心を押し込めて

その様がどんなに無様でも、滑稽でも、踊り続けるしかなかった

だけど、その過負荷が限界を超えようとしていた

いや、きっともう、とっくに超えていた―――



「……ど、して……」

頬を熱い雫が滑り落ちた。

留まることを知らないそれは幾筋にもなり、最後にははるかの服へと吸い込まれていく。

どんな時でも受け止め、力をくれたもう一人の人はここにはいなくて。
手紙も書く、電話もするからと言ってくれたのに、未だその気配すらないのが更に不安を煽って。
ただただ待つしかない、待っているだけの自分が、揺らぐことのなかった自信を失わせていく。

「わた、し…がんばらなくちゃ…って…ずっと、信じてなくちゃって……でも、こわ、くて…
 ごめ、なさ……あたま、なかぐちゃぐちゃで……わか、な……」

「ここには僕しかいないから。大丈夫…」

「……ひっ……、ぅ……っ……はる、か、さ………」

はるかの言葉に、今度こそ、張りつめていた糸が―――切れた。




どれくらい時間が経ったのか、正確にはわからない。

狭い車内。

2人分の吐息で白く曇りゆく窓ガラス。

響くのは、雨の音にかき消されそうなほどのうさぎの慟哭…

彼女の細い肩はしゃくりあげるたびに小さく震え、未だ蒼い瞳からは透明な雫が零れ落ちる――

これほどまでに追い込んでしまった自分を責める一方で、未だ連絡さえ寄越さない彼のプリンスに憤りさえ感じる。

本当は他の誰かを想って泣くところなど見たくない。
それでも、精神バランスが危ういまま、彼女を戦わせることは出来ない。

『銀水晶』の力は使用者の想いに、心の強さに左右される。
すなわち、亜美やレイ、自分も含めた仲間全員。そして、うさぎ自身の命が懸かっている。

この世界の―銀河の平和のためにも…いや、何より2度とうさぎを失わないためにも…彼女を護らなければならない。
どんな敵が現れようとも。どんな状況に陥っても。
例えそう、自らの命が絶たれようとも。

はるかは心の痛みを押し殺し、ぬくもりが奪われぬよう、うさぎを抱く腕に力を篭めた。
降り止むことのない雨が、少女の涙を攫ってくれることを願いながら…



~end~


====================================================


うさぎちゃんの場合は自分の苦しみとか寂しい気持ちを仲間に打ち明けることをあまりしなさそうなんですよね。
自分で解決しようとして失敗したり、すでにばれてたりとかとか。
そして、それを放っておけないはるか氏。

うちのはるか氏はうさぎちゃんを泣かせたり悲しませる人は許せない人です。
自分も例外ではありません。
アニメでも原作でも色々ありましたからね。
当然『護りたい』と想う気持ちも高まるわけで。
自分の気持ちを押し殺してでも、と言うはるか氏の気持ちをあらわしてみました。


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