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お出かけしませんか?

こんばんはです。

ここ数日頭の中がパンクするかと思うほどに言葉が溢れまくりました。
スレイもですが、せらむん関連も。
まぁ、ちょっと眠ったら収まりましたが。
いきなりネタの波がきたものですから焦りました。

まだ書き出しきれてませんが。
そのうち落ち着きながら書きたいと思います。

さて、本題ですが今回はゼルリナですー。
ありがちなシチュですが、お買い物ねたです。
ゼルってばリナの知らないことを色々知ってそうなので、活躍させてみました。
本文に出てくる薬草などの名前は適当です。
あまり気にしないでください。

ではでは、続きよりお楽しみ頂ければ幸いです。





お出かけしませんか?


こんこん

「開いてる」

訪問者は栗色の髪を揺らして顔を覗かせた。

「いたいた♪」

「どうした?」

悪戯っぽい瞳をして、旅の装備を解いたリナが部屋に入ってきた。
俺は読んでいた魔道書から顔を上げた。

「おにーさん、お暇?」

つきあって、とにこりと笑う。

「今日は何処へ行くんだ?」

「薬草買いに行きたいの」

珍しい。

ぱたむ

魔道書を閉じて掛けていた眼鏡も外す。
立ち上がってベッドに放り出しておいたマントを手に取る。

「良いのか、俺で?」

こんなナリだぞ。

「ゼルが良いの。
 あたしじゃ薬草の内容も価格も知識が足りないの」

ついでに交渉もしろ、か。
確かに。他の二人じゃ論外だ。

「店の目星は着いてるんだろう?」

「さっすがゼル!わかってるぅ!」

ばちぃん!

「い゛っ!?」

「あいったぁ~!」

それはこっちの台詞だっつーに…

叩かれた箇所がジンジンと熱を持つ。

振り返れば右手に息を吹きかけている涙目のリナ。
合成獣の俺の背中を素手で引っ叩くとどうなるかくらい知ってるだろう…

(――ったく、考えて行動しろよ…)

軽く小さな頭を撫で、「出かけるぞ」と声をかける。

「う゛ぅ~~」

「恨めしげに見たって痛いのは変わらんぞ…」

しかし、機嫌を損ねたままの彼女を連れて行くのは少々気が引けた。

「………ほら、」

苦笑しながら左手を差し出した。

じっとその手を見つめるリナ。
続いて俺の顔を見上げる。

「手ぇ貸せ」

「にゃっ!?」

痺れを切らして自分より小柄な手をきゅっと掴む。

「行くぞ」

「わ、ま、待って」

歩き出した俺に慌てるリナ。

(ヒヨコかウサギみたいだな)

我ながら柄でもない感想に思わず心の中で苦笑する。
リナはそんなひ弱な生き物ではない。


街は結構賑っていた。

人が多いのはかなり苦手だが、リナが隣ならあまり気にならないから不思議だ。

「こっちよ、ゼル」

俺の腕を引き、進行方向を指差す。

まもなく、大通りからは少し逸れた場所にある薬草屋へと辿りついた。
外壁はレンガ、ドアと道側の窓枠は木製で出来ている、ありきたりな造りだ。

ちり、ちりりん

「ごめんください」

「いらっしゃい」

「少し見せてもらっても?」

「あぁ、かまわんよ」

ちょっと小太りの店主。
見たところ、そこそこ知識はありそうだが。

リムルの種、クラウレの根、ディンゴの葉を乾燥させたもの…

ふむ。

保存状態は悪くなさそうだ。
密閉できるガラスのビンが所狭しと並んでいる。
乾燥剤も中に仕込んであるらしい。

「ゼル、あれなに?」

くい、とマントを引き、上から2段目のビンを指差した。

どうやら何かの枝のようだが?

ゴト

俺は手を伸ばしてビンを手元に引き寄せる。

「あぁ、これはルーイの枝だな」

「ルーイ?」

「所謂、精神を安定させる香りを放つ枝だ。
 枝に火をつけて、しばらく経つと薄い煙が出るんだ」

「へーぇ…」

感心したようにため息をつくと、今度は別の棚へと視線を移す。

ビンを元の位置に戻し、店内を見回す。

(あれは…―――!)

目の片隅に移った、店内では目のつき難い場所にある入れ物が2つ。
その中身は昔見たことのあるモノだった。
できれば、もう二度とお目に係りたくなかったが。

「おい、リナ」

「うん?」

「目当ての薬草があるんだったら、とっとと買った方がいい」

大抵あの手のモノが置いてある店は決まっている。

「どうして?」

「訳は後で話す。良いから行ってこい」

不思議そうに瞳を瞬かせながらも、彼女は店主に目的の薬草を伝えた。
その内容のほとんどは傷薬や痛み止めに関するものだった。
他にもハーブも何種類か購入するらしい。

「あとは…ゲオールの葉はある?」

「あるにはあるが、高くつくぜ?」

俺はその名に眉を潜めた。

ゲオールは最西に位置する土地でよく見られる木の一種。
その葉を煎じれば鎮痛、消化器系機能の調整はもちろん、精神的緊張による不眠にも高い効果が得られる。
だがゲオールの木が育つには結構な月日がかかり、地図上で南端に位置するこの土地ではなかなか入手は難しい。
無論、店主の言った通り、値段は結構張る。

「そのゲオール、ホンモノだろうな」

「な、なんだと?」

店主はいきなり出てきた怪しい風貌の俺に驚いたようだ。

それを気にも留めず、カウンターのほうへ足を進める。

一応知識としてレゾが使用しているのを見たことがある。
店の奥から店主が出してきたビンの中身を目でさした。

「入手困難なシロモノが此処にあることが不思議だったのがひとつ。
 もう一つは、こいつは俺の旅の連れだ。何かあってからじゃ遅いんでな」

店主はあからさまに嫌な顔をしたが、ここで断れば自分に不利になることは目に見えている。
しぶしぶ、俺にゲオールの葉が入っているらしいビンを俺に渡す。

リナは不安そうに俺の様子を伺っている。

緑色の葉の表面はつるりとしていて、細い形状。
香りの方も記憶の中のモノと一致する。

「どうやら、ホンモノだな」

「だろう!?…ったく、」

「で、店主。一つ相談だがな」

俺はにやりと口の端を吊り上げた。

「値引きなら聞かないぜ」

そうくると思っていた。
俺は先程見つけたビンのある後方を顎で差す。

「あの隅にあるビンの中身。
 リアの葉とエルラの実、だな?」

びきっ

店主の表情から『余裕』というものが消えた。
どんなに入念に隠しても、見る奴が見れば一発でわかる。

「な、なんのことでぇ…」

「とぼけるな。
 あれはどちらも麻薬と淫剤の成分を含んでいるということで、法的には取引禁止のはずだ」

それが此処にあるということがどういうことか。
言わずと知れた密輸をやっているという確たる証だ。

リナに買い物を急かした理由がこれだ。
密輸をやってる店など碌なものではない。

「俺が何を言いたいか、わかるな?」

「ど、どうするつもりだ…」

男の額にはすでに脂汗が浮かんでいる。

「簡単なことだ。
 ゲオールの葉、言い値の3割でどうだ」

「さ、さんわりだと!?」

「ちょ、ちょっとゼル!」

いくらなんでも、とリナが俺の袖を掴む。
しかし、これくらいでなければ割に合わない。
役人に密輸の常習者を突き出して礼金を貰うのに比べれば、な。

「大したことじゃないだろう?
 今まで『あの薬』で懐はかなり肥えているはずだ」

密輸というのはリスクも高い。
その危険を冒す代金は売値に加算される。
しかも、あんなものを買うのは、貴族か闇の商売人と相場が決まっている。
出す金を惜しむ客は、まず手を出さない代物だ。

闇の世界で生きていたことが、こんなところで役立つとはな。
まったく、皮肉なもんだ。

「わ、わかった!わかったから!
 役人だけには黙っててくれ!頼む!」

態度一変。

カウンターに額を擦り付けんばかりの勢いで謝り倒される。

「じゃあ、さっきの値段で交渉成立、だな?」

「……くっ……わ、わかった」

「良し」

きょとんと俺を見上げているリナに苦笑して頷いてやる。

「やっったぁっ!ありがと!」

両手で握りこぶしを作ってガッツポーズをするリナ。

目が金貨になっとるぞ…


ちり、ちりん

「えへへ~ありがと、ゼル」

上機嫌で微笑むリナ。

「貸せ」

「え、でも…」

「いいから」

薬草の入った紙袋を彼女から取り上げ、逆の手を差し出す。

またじっと俺の手を見る。
が、しばらくして花がほころぶような笑顔でその先を繋ぐ。

くすくす

「どうした?」

恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに忍び笑うリナ。
その頬が少し赤いことに気付く。

「なんか、デートみたい」

「違ったのか?」

「え!?」

しれっと言った俺に彼女がさらに赤くなって硬直する。

「俺はてっきりお誘いかと思っていたんだがな」

「な、あ、あた…あたしは!別に…!」

「ついでだ。
 規模は小さいが祭りも催されているようだし、覗いてくか」

呆然と俺を見つめるリナ。
そんなに変なことを言った覚えはないが。

「いい、の?」

あぁ、そういうことか。

「構わんさ」

俺は肩を竦めて言った。

みるみる彼女の顔に笑みが形作られていく。

街に着いたときから気がついていた。



屋台から流れてくる多様な食べ物の匂いに嗅覚を研ぎ澄ませ。

色とりどりの飾りに瞳を奪われて。

予想外の人ごみに流されながらも、俺と外へ繰り出した。

もともと小柄が故に人の多いのが苦手なリナが。


意外だが、騒ぐのが好きなのと、人ごみとはまた別問題らしい。
俺もこの姿になってからは特に避けるようにはなったが。

「行きましょ!あっちにね、美味しそうな屋台見つけたのよ!」

「おいおい、急がんでも食べ物は逃げてきゃしないだろう」


たまにはリナの隣で笑顔を拝みたいときもある。

保護者になるつもりは毛頭なくとも。

苦笑しながら、引かれるままに俺は賑やかな喧騒の中へと踏み出した。



--end--




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