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さて、本年最初の投稿は。



最近企画の創作が上手く進みませんが、なんとか頑張りたいと思っています。
が、その前に、以前『get ready』にコメント頂いた中で、この続きを、と書いて頂いたので、頑張ってみました。
なのに…くっつくとこまでいけませんでした(がっくし)
でも、しっかり両想いな2人。
時期ハズレで申し訳ありませんが、目を瞑って頂けるとありがたいです。

では、続きより、お楽しみ頂ければ嬉しいです。





『君マデ届ケ』


カタン


微かに響いた音に、うさぎは入り口を振り返った。

「夜天君っ!?」

「なにやってんの、こんな時間まで。ひとり?」

銀色の髪を後頭部で束ねた少年―夜天―は、機材の入っていたらしいケースやケーブルが散在する床を歩きながら、うさぎの元へ。

彼女は傍にあったジュラルミンのケースのひとつを寄せると、座るように勧めた。
しかし夜天は首を横に振り、うさぎの隣に立った。

目の前には配線が何十本と差し込まれたミキサーがテーブルを完全に占領している。
隣にも、エフェクター等が詰め込まれた音響機材ラックがあり、その背後からも何本ものケーブルが流れている。
正面ステージに向かってまっすぐ伸びる太いケーブルの先には、大人の背丈ほどもあるであろう大きなスピーカーが両サイドにそれぞれ4本。
ステージ上にも明日使用するであろうマイクがスタンドにささり、所狭しと並べられている。


これだけの機材を組むだけでも大変だったろうに。
隣に座るうさぎはどこか楽しそうだ。

年に一度の学園祭。

彼女は実行委員の舞台設定係に任命され、本番前日の今日は泊り込みなのだと言っていた。
一週間前から忙しなく動き回るうさぎを心配して来てみたのだが。

自分の杞憂だっただろうか?

「みんなね、今ご飯買いに行ってるの」

「なんで行かなかったのさ」

女の子一人で残していった他の生徒にも腹が立ったが、残った彼女自身にも少し苛立ちを感じた。

「だって、この機材すっごい高いんだって。誰かいないとダメらしいから。
 それにご飯代奢ってくれるって言うから、いっぱい頼んじゃった♪」

そんなこと知っている。

自分だって何度もコンサートの打ち合わせやリハで機材の確認をしてことだってある。

目の前にあるのはそれと酷似したものだ。

だからと言って……

「君さぁ……」

自覚があるのだろうか。

「どしたの? 夜天君」

はぁぁぁ……

きょとん、として問いかけてくる彼女に、深いため息をつかざるを得ない。

「なんでもない。ところでさ、もう使える状態なわけ?」

「あぁ、これ?
 さっきまでみんなで機材のチェックついでにカラオケ大会したままだから、使えると思うよ?」

(………なにやってんだか。まぁ、いいけどさ)

疲労を知らない、緊張感の無さに呆れるも、まだ高校生だと言うことを思い出し、

「じゃあ、頑張ってる君に、ゴホウビ」

そう言うと、勝手にミキサーの電源を入れてマイクのボリュームを上げると、振り向きもせずにステージへと歩き出す。

「ちょ、え、まっ…やて、ん、くん?」

『いいから、聞いてなよ』

センターにあったマイクをスタンドから引き抜くと、突然、アカペラで歌い始めた。

「――――っこれ…は……!」

思わず目を見開くうさぎ。

それは彼らスリーライツが一番大切にしている歌……――――『流れ星へ』

静かに、ただ静かに旋律をなぞる。

その姿は、コンサートのステージ上でも、テレビの画面でも見ることのない、自然体の夜天。

他の2人よりほんの少し高いボーイソプラノ。

綴られた歌詞は彼らの皇女、火球に捧げられたものでありながら、今自分の為に歌われている……

確かに今、この心を熱く震わせるのは…夜天の声。

そのことに、涙が溢れた。




ぱちぱちぱちぱち………

歌い終わった夜天に、たった一人の観客から惜しみない拍手が贈られる。

彼女の蒼い瞳には、未だ止めどない涙が溢れている。
そのことにようやく気付いてぎょっとする夜天。

「ちょ、月野っ…?」

「…ぇ、ぁ…ご、ごめんね……?」

なんだか止まらなくて、と頬を伝う雫を拭いながら笑う表情が、何故かとても愛しくなって。
マイクをスタンドに戻して早足でステージから降りると、そのまま彼女の元へ向かう。

「泣くほど良かった?」

得意そうに口の端を吊り上げる夜天。

しかし、その表情は穏やかで、指先は優しく涙の軌跡を拭う。
頷いて顔を上げた彼女はもう泣いていなかった。

「元気、でちゃった」

「そ?」

「うんっ!また作業頑張れそう!」

「って、まだやること残ってんの?」

「あ、うん。でも…だいじょぶ♪」

そう言って小さくVサインをしてみせる。

「じゃあ僕もそろそろ行くよ」

「え、ぁ、そっか…この後ラジオの収録だもんね」

仕事の合間を抜け出してまで来てくれたことを嬉しく思いながらもほんの少し感じる寂しさ。
引き止めたいが、彼の邪魔は出来ない。



あの屋上での告白以来、ずっと考えていた。

自分は確かに夜天のことが好きだ。

そして、彼もまた。
自分のことを想ってくれている。

しかし…違(たが)えた運命に夜天を巻き込んでもいいのか、と。


もう踏み出してしまった、誰にも予測できない未来。

その全てを……――――護れるの?


むに。

「!?」

「なんて顔してんの」

両の頬を摘んだまま、むにむにと遊び始める夜天。

「な、あにひゅんにょ(なにするの)!」

「君にそんな顔させるために来たんじゃないよ」

そっと、手を広げて頬を包み込んで言葉を続ける。

「なんでもかんでも背負いすぎだよ。
 僕が好きになったのは、『今』を精一杯生きようとする君なんだ。
 明日のことだって判らないのに、遠い30世紀の未来を想像することなんて出来るわけがない」

「……夜天く……」

「選びなよ」

「――――え……?」

頬から手を離し、うさぎの前に差し出す。


どくん、と鼓動が脈打った。


彼の言葉の意味を悟り、思わず自分の両手を握り締める。

「君自身も含めた護りたいと思ってるもの、全部叶えてみせる。
 それくらいの覚悟がなきゃ君を手に入れることなんて出来ないしね。だから、僕を選んでよ」


込み上げる、熱い感情。


本当は言ってしまいたかった。あの屋上で。

だけど、怖かった。

何もかもが崩れてしまいそうで。

全てを壊してしまいそうで。

でも、もう遅い。

すでに心はこんなにも求めていたのだから……―――――


「だめ、か。僕じゃ……」

「そんなことないっ!私だって………!」

言葉にした途端、再び涙で視界が滲んだ。

驚いたように夜天の瞳が開かれる。

しかし、そんなことを構っていられるほど、彼女には余裕がなかった。

「いっぱい考たわ!答えなんてあるはずないのだって判ってた!だけど考えちゃうの!
 私っ……私は、―――――!」

突然引き寄せられた腕の中。

うさぎはめいっぱいに瞳を見開いて今の状況を理解しようとした。
しかし、考えれば考えるほど混乱するばかりで、ただ呆然と夜天に包まれているしかなかった。

「大丈夫。それは僕もわかってるつもり。
 その続き、明日の後夜祭の後、屋上で聞かせて。もう時間だし、大気たち…外で待ってるんだ」

「えぇっ!? ご、ごめっ……!」

「いいよ。2人ともわかってるっぽいし。いい? 明日、屋上だからね」

「や、てん…く、!?」

頬に、柔らかな感触。

思わずその場所に触れると、自分を包んでいたぬくもりも離れていった。

「先約。忘れないでよ?」

「夜天君!」

伸ばした手は届かず、じゃあね、と華麗なウインクを残して彼の姿は扉の向こうに消えた。


訪れる静寂。

胸に沁みる、彼の声の名残。


「夜天君のばか……」


零れ落ちた言葉は思ったよりホールに響いて、自分の鼓膜を刺激した。

しかし、自分の気持ちは決まってしまったようだ。


今の気持ちに正直に生きたいと思う。

その心のままを、彼に伝えよう。

きっと2人なら、乗り越えていけるはずだから。


よし、とひとり気合いを入れると、うさぎは機材の散乱している机へと踵を返した。

決戦は、明夜。



fin


+++++++++++++++++++++++++++++++++


い、いかがだったでしょうか?
これでも頑張ったのですが、どうにもできませんでした。(非力)

大学生の頃に部活で音響システム扱っていたのを、こんなところで使うとは思っていませんでした(笑)

大学祭とか、大きなイベントのたびに徹夜して、そのまま1限目とか、実験とか当たり前。
丸一日食べられなかったりとかは辛かったですけど。

楽しかったですしね、それなりに。
イベント終わってその日のうちに打ち上げで朝までとかやりましたし。
男性陣なんて、10月に大学内の噴水に飛び込んでましたし(汗)

今となっては懐かしい、良い記憶だと思っています。

ではまた更新の際は、よろしくお願い致します。
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